何年も前から、パリ地方には最先端の産業と先進の専門分野が集まっています。この記事では、パリ地方の伝統的な産業エコシステムの概要と、人材の多様性と豊かさ、産業界と最適なサプライチェーンへのサポート環境をご説明します。
数多くの専門分野を網羅する伝統的産業地域への参加
フランスの産業構造は、強固で長い歴史を持っていますが、パリ地方は見事にそれを反映しており、最先端の産業と多くの専門分野が集結しています。実際、あらゆる分野の企業が、その専門分野に関わる主要企業のクラスターを見つけることができます。さらに、パリ地方の多様な経済は、主要クラスターやハイテク研究センターによって牽引されています。この独自の環境が、興味深い分野を超えたコラボレーションの機会を生み出しています。例えば、ITとヘルスケアの融合や、自動車と環境技術の融合などが挙げられます。
このような観点から見ると、パリ地方の産業の環境は企業にとって多くのチャンスをもたらします。国の統計によると、現在、17000ヶ所以上の産業施設と42万人以上の雇用があるとされています。産業界がますます未来を見据えるようになっている中で、近年高い成長を遂げているポテンシャルの高い分野を選びました。
製薬 - バイオテック
パリ地方は、健康・生命科学の研究における質の高さで世界的に知られています。
実際、この地方は、健康研究を含むあらゆる科学分野において、世界的に名高い学術研究機関が集中しており、世界で最も革新的な研究機関10機関のうち3機関がパリ地方にあります。
現在、パリ地方には、巨大企業のサノフィ社の工場を含む219ヶ所の製薬施設があり、そこでは16000人以上が雇用されています。
航空
フランスを代表する航空宇宙産業地帯であるパリ地方には、事業拡大を目指す航空宇宙および防衛関連企業にとって多くのビジネスチャンスがあります。パリ地方は、エンジン、車載システム、アビオニクス、ドローン、ビジネスジェット機などの分野で世界をリードしています。
また、パリ地方の航空宇宙産業は、10万人の雇用を支えています。4ヶ所の施設で11000人を雇用する、サフラングループもパリ地方を拠点としています。その4つの拠点は、パリ=ヴィラロッシュ(セーヌ=エ=マルヌ県)、エヴリー=コルベイユ(エソンヌ県)、ジャンヌヴィリエ(オート=ド=セーヌ県)、サン=カンタン=アン=イヴリーヌ(イヴリーヌ県)にあります。また、サフランとGEエンジンが主導するリープ・プログラムは、航空史上最大の産業チャレンジの1つです。これにより、最終的には、100席以上の単通路機の市場の75%を獲得できる可能性があります。
スタートアップ企業については、パリ15区にあるスターバースト航空産業インキュベーターが、航空技術のイノベーション開発を支援する使命を担っています。
持続可能性
パリ地方は、持続可能性の推進に積極的に取り組んでいます。その取り組みは、ビジネスを通じた持続可能性の促進、環境に配慮した都市計画、プラスの社会的影響を与えるプロジェクトの推進という3つのテーマを中心にしています。国土のわずか2%にフランスの人口の18%が暮らすパリ地方は、持続可能でカーボンフリーの都市計画により、市民にきれいな空気と豊かな緑のある環境を提供することを目標としています。持続可能な開発は、すべての地方政策の中心テーマとなっています。
この取り組みにより、パリ地方の排水処理、廃棄物管理、汚染除去、および循環型経済活動を担う産業施設は800ヶ所以上におよび、23000人の雇用を生み出しています。
アグリテック&フードテック
フランス社会と経済の柱である食品産業は、フランスの貿易収支に大いに貢献する産業です。食品産業だけで、パリ地方の全労働力の10%を雇用しています。また、フランス国内のフードテック関連投資の80%がパリ地方に集中していることからも、この地方のフードテックの情勢が投資家の強い関心を集めていることが分かります。
パリ地方には5000ヶ所以上の産業施設があり、アグリテック、フードテック、食品、飲料業界は約53000人の雇用を創出しています。コカ・コーラやラ・メゾン・デュ・ショコラなどの巨大企業も、工場の設立にあたりパリ地方を選んでいます。
また、パリ地方にある工場では、藻、昆虫、豆類、発酵などの未来のタンパク質を使用し、未来を見据えた活動も行っています。
豊富な人材によりインダストリー4.0の実現へ向かう地方
パリ地方は、ヨーロッパ最大かつ最も多様な人材の宝庫であり、学生数は約71万7000人にのぼり、EUで高等教育機関の学生が最も集中する地方となっています。
本来、企業が付加価値の高い製品を生産できるかどうかは、生産技術と多くの熟練労働者を確保しているかどうかに大きく依存します。 この問題点を強く意識するパリ地方では、主要な科学分野におけるハイレベルの教育を提供することで、イノベーションの創出や企業の技術力の開発を支援しています。現在、パリ地方には、12万人の研究者を含む16万5500人の研究開発に携わるスタッフがいます。この数は、地方内36ヶ所の技術系教育機関に在籍する4万5,000人の学生により、今後さらに増加することが予測されます。 研究開発費はシリコンバレーに匹敵し、11万9,700人の研究者を含む16万5,000人を雇用し、8,000社以上のスタートアップ企業を擁しています。こうした実績により、パリ地方はヨーロッパで最も革新的な技術開発地域のひとつに数えられ、優れた経済的潜在能力が認められています。
また、パリ市には、コンピュータ科学と工学の分野で世界のトップ500校にランキングされる大学10校があります。例えば、パリ・サクレー大学は、数学の分野で常に世界最高峰の大学として位置づけられており、自然科学、工学、生命科学、医学、社会科学の分野でも、世界最高レベルの大学の1つに数えられています。
同時に、パリ地方では、イノベーションへの関心が高まっていることに注目し、この技術変革を促進するエコシステムを構築しています。「インテリジェント・マニュファクチャリング」への移行を進め、経済のあらゆる分野に新しい技術を取り入れています。実現技術(ナノテクノロジー、通信、3Dモデリング)におけるパリ地方の先導的地位は、広範囲の分野の企業から注目を集めています。 実際、特許出願数の多さから見ても、パリ地方は将来的に世界を牽引する技術開発地域となると予想されます。
あなたの産業をサポートする地方
EU市場への容易なアクセス
パリ地方は、人、資本、商品、サービス、データの流動性に富んだ経済環境を持っています。企業は、5億人以上の消費者を抱えるヨーロッパ市場にアクセスできるだけでなく、アフリカやアジアの市場にもアクセスすることができます。同様に、パリ地方に拠点を置く企業は、世界レベルのインフラとヨーロッパの主要都市へのアクセスにより、迅速に成長することができます。交通の面では、高速鉄道網により、ヨーロッパの全ての主要都市に接続しています。また、3つの主要国際空港とも接続しています。
最高水準の輸送インフラでサプライチェーンを最適化
HAROPA(アロパ):
パリ地方では、産業の持続可能性を維持しながら輸送とモビリティを促進することを、政策課題として重要視しています。その一環として、商品の輸送を促進するための中心的役割を果たす、複合サプライチェーンシステムを構築しています。
その1つが、パリ地方の海の玄関口であるアロパ港です。当港では、この複合的アプローチにより、持続可能な物流のためのイノベーションを支援しています。現在、ジュヌヴィリエ(92)、ボンヌイユ=シュル=マルヌ(94)、リメイ=ポルシュヴィル(78)を初めとする6ヶ所の複合プラットフォームと60ヶ所の都市港により、年間2000万トン以上の商品の輸送が可能となっており、これは、100万台以上のトラックが道路を走行することを回避していることになります。
さらに、2019年の河川による輸送量は2500万トン(2018年比+13%)となり、パリ地方はフランスでトップ、ヨーロッパでは2番目の河川港となりました。
グラン・パリ・エクスプレス・プロジェクト:
グラン・パリ・エクスプレス(GPE)は、パリ周辺の4つの自動運転による地下鉄路線の開発と、既存の2つの路線の延長工事で構成される公共交通網プロジェクトです。総延長200kmに及ぶこの都市開発プロジェクトは、現在ヨーロッパで最大のものであり、都市のリノベーションを加速させ、パリ周辺のすべての主要産業地帯を刷新することを目的としています。現在、このプロジェクトは速いペースで進行しており、このプロジェクトを完成させるために大規模な工事が進められています。
産業関連企業への経済的支援
パリ地方では、産業関連企業に対しても大規模な経済的支援を行っています。その中で、Choose Paris Regionは、重要なアドバイスの提供を通して投資家の方々を支援しています。
あなたのビジネスのニーズに合った場所を見つける
近年のパリ地方の産業界の発展と進行中のプロジェクトの多さは、イノベーションと持続可能な開発への移行を支援することで、この分野の発展を促進したいという当局の意向を反映しています。
あなたのビジネスに最適なパリ地方の産業施設を見つけ、あなたの企業を次のレベルに引き上げるため、すぐに使える産業施設ガイドでは、ヨーロッパの主要経済地域でビジネスを開始する場所として利用可能な主な施設の概要を紹介しています。こちらからダウンロードしてください:here.
Choose Paris Experts
Stéphane Rivière
Industrial ProjectsExpert